日本農村医学会雑誌
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胃肉腫の1例
加藤 太吉陳田 徹
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1956 年 4 巻 2-3 号 p. 43-45

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抄録

患者は63才男子。上腹部ならびに臍部に拇指頭大および鳩卵大の移動性の腫瘤を触れ, X線的に胃癌のいわゆる第II型半環像を示し, 胃癌および肝転移の疑いの診断のもとに胃切除術施行。胃外腫瘤は後腹膜より広基性に発育したもので剔出不能。胃剔出標本では前壁小弯に近く幽門輪より約5cm距つたところに雀卵大の噴火口様潰瘍を認めた。該部組織学的所見によれば腫瘍細胞は円形, 淋巴球大で原形質にとぼしくほとんど裸核に近い基質として僅少な結締織線維が網状をなしている細網細胞はほとんどない。以上所見より胃淋巴肉腫と診断された。
X線像にては明かに平皿状癌と思われたるも臨床所見ならびに検査において胃癌に比して非定型的な点が多かつたことが注目された。

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