日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
秋田県南, 農村地域における胃癌の臨床医学的研究
松岡 富男鈴木 晃寺島 秀夫
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 40 巻 2 号 p. 89-97

詳細
抄録

昭和50年1月から昭和63年12月までの14年間に, 平鹿総合病院外科で手術された胃癌症例は1,236例で, 異時性多発癌8例が含まれている。症例のうち60才代がもっとも多く32.2%を占め, 次いで50才代の27.7%であった。70才以上高令者は21.0%を占めたが, 若年者は6.1%にすぎなかった。早期癌の頻度は37.5%で, 年々増加傾向を示し, 昭和63年は59.3%に達していた。他方切除不能例も114例あり, 9.2%を占めていた。
14年間を, 昭和50年, 51年は2年間で, 昭和52年以降は3年ごとに区分して推移をみると, 症例数の減少傾向は認められなかった。昭和55年以降, 70才以上の高令者の頻度が20%以上になるとともに, 臨床病期の早い1期の症例が増加して52.1%に達し, 逆にIV期は15.2%にまで低下するようになった。また手術治癒度も向上して, 絶対治癒切除75.6%を含め治癒切除例は85.2%に達した。この治癒切除例の累積5年生存率は79.3%, 10年生存率は74.0%と, 良好な成績が得られた。症例の5.0%に重複癌が発見されており, 術前の十分な検索と術後の厳重な追跡が必要である。

著者関連情報
© (社)日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top