長野県厚生連における胃集検のコンピューターによる精度管理と読影モデルを用いた読影テストについて報告した。正常例30例, 胃癌症例20例よりなる読影モデルと読影者の判定したグレードと正解の開きによってつけたスコア表をもちいたテストでは, 医師の方が技師よりやや良いスコアで, いずれも読影経験の長い方が良いスコアになる傾向であった。また他部位チェックについては所見の当否を無視した方法ではあるが, 経験に関係なくやや医師に多い傾向にあったが有意差はなかった。偽陽性率, 偽陰性率は医師については1回目40.5%, 20.8%, 2回目34.0%, 29.0%で, 技師については1回目38.9%, 23.3%, 2回目41.5%, 40.1%であった。
昭和63年度の実際の集検の結果ではチェックの多くは前庭部と胃角部にあり, あわせて67.4%にのぼり, 胃角小攣だけで23.8%であった。「病変のあることが確実」を意味する判定基準5とされながら精密検査の結果異常なしであった割合は, 昭和58年度の25%から63年度の5.9%に引き下げることが出来た。しかし判定基準5における未受診者の割合11.8%については今後の改善が求められる。