日本農村医学会雑誌
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福島県県南地方における突発性難聴とその治療成績について
尾股 丈夫
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1993 年 42 巻 1 号 p. 24-29

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抄録

福島県県南の農村地方に位置する白河厚生病院での8年間の突発性難聴入院症例について検討を行なった。対象は厚生省特定疾患突発性難聴調査研究班の基準にもとづいて診断された症例71名で, 予後判定は同研究班のものを用い発症から治療開始まで14日以内の症例67名とした。年齢は10歳から89歳で平均48.9歳であった。14日以内に治療を開始したものが全体の94.4%で, 初診時平均聴力は72.6dBであり, 70dB以上の高度難聴症例は56.8%を占めていた。健側耳との左右差の平均は50.1dBで, 左右差が35dB以上の難聴症例は70.6%であった。治療は星状神経節ブロック併用療法10耳14%, ステロイド剤, 低分子デキストランやビタミン剤を投与する基本療法が41耳55%, この基本療法に抗血栓剤 (ウロキナーゼ, またはバトロキソビン) を投与したものが23耳31%であった。予後についてはI: 70dB以上の高度難聴症例での有効率 (回復率と著明回復率の合計) は, 星状神経節ブロック併用療法群で28.6%, 基本療法群で72.2%で, この基本療法にバトロキソビンを使用した群では80.0%となった。II: 左右差35dB以上の難聴症例では星状神経節ブロック併用療法群で44.4%, 基本療法群で72.0%, この基本療法にバトロキソビンを併用した群では83.3%であった。

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