日本農村医学会雑誌
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有機農業者の健康実態および有機農業の生体影響に関する研究
若月 俊一
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1993 年 42 巻 4 号 p. 1002-1006

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抄録

農薬や化学肥料の生体影響の国際的評価について,'87年のカリフォルニア州の農薬作業による中毒事例の報告と,'86年の日本の厚生省報告を対比し, 評価・検討を行なった。その結果, 従業中の中毒例はカリフォルニア州が多かったが, 死亡例は日本が多く, 重大な健康障害が発生していることが判明した。
有機農業者と一般農業者の健康実態の分析については, 富山県の5年間に報告のあった農薬中毒90例についてみると, パラコート剤による自殺例は減少傾向にあった。農業従事者の有機リン系殺虫剤などによる農薬暴露の影響をみるとき, 血漿ChE, 赤血球AChE, 尿中BMG, 遺伝学的影響としてSCEの頻度調査および有機リン農薬の尿中代謝物であるDPM, DMTPなどの調査が有効であることが示唆された。また, 健康実態を把握するための基礎的な問診および検査項目について検討した。
農業化学物質の人体内残留については, 脂肪組織では前回と同じか, やや高い値を示し, 母乳でも, ほぼ前回と同じであり, いずれもここ数年横這い状態である。有機農業の生体影響に関する実験的研究では, 化学肥料, とくに窒素肥料の生体影響をみるため, メトヘモグロビンを誘発する硝酸ナトリウムなどを家ウサギに投与して, 血中メトヘモグロピンの形成動態を微量測定法を用いて調査した。その結果, 投与後1~3時間にピークが認められ, 24時間後には投与前の値にもどっていた。

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