岩手県の米・肉牛飼育, 茨城県のレンコン生産、富山県のチューリップ球根栽培, 長野県の高原野菜栽培および鹿児島県のイチゴ等施設園芸など各作目を対象に選び, 農業従事者の労働負担と健康影響を調査するとともに, 労働負担評価の開発, すなわち, 蓄積的疲労徴候インデクス (CFSI) の農業従事者への適用のための改訂を試みた。初年度, 本研究では, 現地における質問紙調査および面接, 健康診断によって, まず, 各作目の経営, 生産過程と労働負担やその健康影響の特質を明らかにした。すなわち, 米作畜産における牧草, 飼料用作物の収穫処理と稲刈り作業の重複する労働加重と健康障害, 特に腰痛の問題, レンコン生産の重労働である掘り取り作業の省力化の効率が悪く, 労働生理学的問題の多いこと, チューリップ球根の収穫, 出荷作業による爪, 手指の特異な皮膚障害とその対策, イチゴなど施設園芸で収穫とともに出荷作業の労働負担が大きく加重する実態等, 問題点が把握された。