日本農村医学会雑誌
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佐久総合病院における蜂刺症の実態
13年間の統計より
安藤 幸穂
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1993 年 42 巻 4 号 p. 949-955

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抄録

1979年から91年の13年間に, 当院皮膚科および救急外来を受診した蜂刺症患者は, 1,711名 (男1,027名, 女684名) で, 年平均130名前後である。受傷者は7~10月の蜂の活動がもっとも盛んな時期に多く, 9歳以下の男児と30~50歳代の男性が大部分である。蜂の種類はアシナガバチとスズメバチが, 蜂刺症患者の70%を占めており, 蜂刺部位は手, 顔, 上肢, 頭の順に多く, すべて身体露出部である。蜂刺傷時の全身症状は23.3%に認められ, 重篤な意識障害は3.3%にみられ, 全身症状出現者は男性の方が有意の差で多い。また頭部刺傷者は, 手・上肢刺傷者と比較して全身症状の出現頻度が高率である。
1991年の蜂によるアナフィラキシーショック症例は8例である。その男女比は7: 1で, すべて中高年者である。発生は8~9月で, 刺傷部位は頭頸部が多く, 症状発現まで数分から15分ときわめて短時間であった。7例がIgE RAST陽性であり, アレルギー的機序により発症したものと考えられた。

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