抄録
膜性増殖性糸球体腎炎 (membranoproliferative glomerulonephritis以下MPGNと略す) ネフローゼ症候群にて経過観察中, 慢性腎不全に至り慢性血液透析導入。直後よりSLE様膠原病の活動性を呈した1例を報告する。症例60歳男性, 平成3年9月, ネフローゼ症候群を発症し, 腎生検にて, MPGNと診断され, ステロイドパルス療法, 免疫抑制剤, 抗凝固療法等を施行するも, 血清蛋白の改善みられず, 約1年6か月後, 腎不全に至った。透析導入直後に, 高熱出現し, 著明な低補体, 抗核抗体及び免疫複合体高値等を認め, SLE様膠原病の活動性を呈したため, ステロイドパルス療法, 血漿交換療法を施行し著効を認めた。一般にSLEは, 高齢の男性はまれであり, 慢性に経過した腎不全例では, 免疫学的活動性は, burn outする例がほとんどであるが, 本例では, 透析導入直後にSLE様膠原病の活動性を呈した。