日本農村医学会雑誌
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農村地域における胃癌手術患者の長期予後に関与する因子について
真田 勝弘岡本 浩平柴田 光一平沼 進椿 昌裕登内 真
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1994 年 43 巻 4 号 p. 969-975

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抄録

胃癌の術後に, 予後を最も大きく左右するのは, 手術の根治性, 癌の深達度, および進行程度である。われわれはこれらの3要素を踏まえた上で, さらに胃癌の長期予後に影響を与える因子を検討した。
土浦協同病院外科で胃癌の手術を施行して, 5年以上経過した症例を対象として, 手術が絶対的治癒切除, 深達度がm, smの早期癌, 進行程度がstage Iであったのに5年未満で癌死した症例と, 反対に手術が非治癒切除, 深達度がsの進行癌, 進行程度がstage IVであったのに5年以上生存した症例を比較検討し以下の結果を得た。
1. 手術が絶対的治癒切除であっても, 病巣自体の進行度が高いこと, 病巣がC領域にあること, 組織型が低分化腺癌であることは予後を悪くする因子である。
2. 手術が非治癒切除であっても, P1, H1, ow (+), aw (+) による非治癒ならば, 主病巣の進行度が低く, 限局型であり, リンパ節転移がなく, R2の郭清が行なわれていれば, 良い予後が期待できる。
3. 深達度がm, smの早期癌であっても, リンパ節転移のある場合には予後を悪くする。
4. 深達度がsに達していても, 他臓器への浸潤がなく, P0で, 病型が4型でなく, R≧nであるなら, 良い予後が期待できる。
5. 組織学的にstage Iとなっても, 肉眼的な所見で, 進行度の高い場合には, 予後が悪い恐れがある。
6. stage IVであっても, リンパ節転移が軽度で相対的非治癒以上の治癒度の切除, R2のリンパ節郭清が行なわれていれば, 良い予後が期待できる。

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