過去14年間に経験した胆石症手術例について診断と治療の変遷を振り返り今後の治療のあり方を検討した。胆石症の診断で手術を受けた524例 (胆嚢結石412例, 胆嚢-総胆管結石75例, 総胆管結石36例, 肝内結石1例) を対象として, 胆石の種類, 期間別での胆石の対比, 手術術式の内容と術式の変遷, 無症状胆石症, 検診時発見症例について分析した結果, 当科では胆石症に対する外科的治療方針を胆嚢結石は急性胆嚢炎や重大な合併症を併発している場合を除いて, 有症状の胆嚢結石症は原則として腹腔鏡下胆摘術を選ぶ。無症状胆石に対しては胆嚢形態の変化 (壁肥厚, 萎縮など) を厳重に観察して経過を見ていく。胆嚢-総胆管結石及び総胆管結石は胆摘+Tチューブ挿入を第一選択とし, 再発例については胆道付加手術を適宜選択するか, 全身状態不良例, 開腹手術不可能例と同様に消化器内科と協力して内視鏡的乳頭括約筋切開術や経皮経肝胆道鏡による截石を行なう。経皮経肝胆嚢ドレナージ (PTGBD) については症例を厳密に検討して採用する必要があること, さらに加えて検診の推進による無症状胆石症の発見に努め, その人達の経過を経年的にみていくべきことも強調した。