日本農村医学会雑誌
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大型スペーサーを用いたBDP吸入療法の臨床的検討
渡邊 好明小川 雅弘吉田 憲生田中 斉金山 均佐野 博加藤 活大
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1995 年 44 巻 2 号 p. 89-92

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抄録

当院において平成4年4月より導入した大型スペーサーを用いたプロピオン酸ベクロメタゾン (BDP) 吸入療法について, 導入前後の気管支喘息患者の救急受診状況を中心に検討した。救急受診した16歳以上の気管支喘息患者は, BDP吸入療法の導入前1年間では内科救急受診患者の月平均10.4±3.0%であったが, 導入1年目には5.3±1.4%, 導入2年目には3.7±1.4%と有意な (P<0.05) 減少が続いた。BDP吸入療法導入前後3年間定期的に通院したコンプライアンス良好な気管支喘息患者21例での検討では, BDP吸入療法導入前1年, 後1年目, 後2年目では救急受診回数は8.1±15.0回/年から1.5±2.0回/年, 1.2±2.0回/年, 点滴施行日数は32.4±27.1日/年から8.1±11.0日/年, 6.7±8.6日/年と両者とも著明な減少を認めた。この21症例にBDP吸入療法導入後約2年目に吸入テクニックの再チェックを施行し, 吸入テクニックの良否と救急受診頻度, 点滴施行頻度について比較検討を施行したが有意差は認められなかった。大型スペーサーを用いたBDP吸入療法は吸入テクニックの良否にあまり左右されずに気管支喘息患者の急性増悪の減少に有効であると考えられる。

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