日本農村医学会雑誌
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農漁村における小児・若年層の健康増進についての研究
登内 真
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1995 年 44 巻 4 号 p. 623-624

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抄録

初年度の研究で, 農漁村の小児において, 肥満児が都市を上回る状態にあることが明らかとなった。このままで推移すれば, 将来農漁村で, 成人病患者の多発が憂慮される。本年度の研究は, このような傾向を防止する手掛かりを得るため, 肥満の原因, 肥満の合併症, 肥満の発症時期などについて研究した。まず肥満の原因としては, 食事, 運動, 家族など肥満の原因となり得る要素について検討した。その結果, 農家の肥満児の食生活, 食習慣に関して大きな特徴は見られなかった。一方肥満児の両親には肥満の人が多い傾向が見られた。
また, 肥満の合併症についても, 種類, 頻度などのほか, 肥満の程度と合併症の関係なども検討した。中等度以上の肥満には合併症が多く, 殊に高度肥満児の合併症は60%近い児童に見られた。肥満の発症は, 4~5歳ごろであることが認められ, 予防の対策もこの時期より始める必要のあることが確認された。体脂肪率の増加は, 動脈硬化危険因子の増加と相関するので, 体脂肪率の測定は, 小児の肥満対策にも有用な方法であるという報告もあった。
本年度の研究により, 成人病の予防対策をたて, 農漁村の小児・若年層の健康増進をはかりたいと思う。

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