1996 年 44 巻 6 号 p. 830-838
四国農村医学会は, 日本農村医学会の地方学会として, 1975年に発足し, 20年を経過した。この20回記念として, その歴史を振り返り, 将来を展望した。
農村医学は, 農業医学と農村保健医学とを併せ持つ性格を有し, 農村住民に対する包括医療を目指す地域社会医学である。
この農村医学の将来を展望するには, 日本の農村と農業の未来の姿をイメージする必要がある。すなわち, 日本の農業は, 今後, ますます専業化, 大型化する方向にあり, よって, 農村医学は, 専業農家群と専業農業者に対する農業医学的視点からのアプローチが, より強く求められることになろう。一方, 農村は, より強く混住社会化することが考えられ, 農村における地域ぐるみの健康管理対策がさらに重要となる。そして, 高齢化が進む農村住民の介護対策が, もっとも, 急を要する課題である。小さい視点からは, 厚生連病院に, 農村医学研究室を作ることを提唱したい。