日本農村医学会雑誌
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静止画像伝送システムによる術中迅速病理診断の有用性
吉岡 孝行武島 幸男児玉 博子瀬戸 恵利子西阪 隆井内 康輝土井 謙司大徳 邦彦
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1996 年 45 巻 2 号 p. 71-76

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抄録

静止画像伝送システムを用いた術中迅速病理診断を試みた。使用した機器は猪原商会とNTTが共同して開発した “医用画像ネットワークシステム (テレパソロジー)” である。1995年4月から12月までの間に63件の症例でこのシステムを利用した術中迅速病理診断を行った。検討した症例は胃癌21例, 結腸癌13例, 乳腺腫瘍5例, 肺腫瘍4例, 甲状腺腫瘍5例, 卵巣腫瘍3例などである。提出された組織はリンパ節44例, 切除材料の断端部20例, 腫瘍組織13例であった。正診率は93.7%と高く, また標本作成過程の改良によって診断までの時間の短縮を見た。問題点としては低倍率の画像が芳しくない点, 利用する病理関係者の技術的あるいは病理学的知識が問われる点などが挙げられた。今後, 画像伝送の技術革新による, 多方面への応用が期待される。

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