日本農村医学会雑誌
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秋田市北部の婦人科集団検診に対する経腟プローブ超音波断層装置導入の成績
設楽 芳宏松浦 亨
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1997 年 45 巻 6 号 p. 807-813

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抄録

平成7年5月から11月にかけて, 当院で施行している秋田県北部の婦人科検診車方式集団検診の際に経腟超音波検診を導入し, 卵巣疾患, 子宮疾患の検出について検討した。
通常の子宮頸部細胞診検査, 内診の後に経腟超音波プロープを用いて子宮, 卵巣の超音波診を施行した。要二次検診の対象となる基準は卵巣疾患では径3cm以上の腫瘤を形成しているもの, solid typeのものとし, また子宮疾患では年齢と大きさを考慮して精査の必要と考えられる子宮筋腫を有するもの, 子宮内膜の肥厚を認め, 閉経前の内膜で2.0cm以上, 閉経後で1.2cm以上のものとした。
2,758名の婦人科検診総受診者に対して1,761名に超音波検査を施行したところ, 卵巣疾患は38名 (2.2%), 子宮疾患では48名 (2.7%) の要二次検診受診適応者が発見された。卵巣疾患の内訳では漿液性卵巣嚢腫30例, 有茎性子宮筋腫4例, 皮様嚢腫1例, Schnitzler転移1例, 早期卵巣癌1例であった。子宮疾患では子宮筋腫30例, 子宮内膜増殖例10例, 子宮留膿腫4例, 子宮腺筋症4例を見いだした。卵巣腫瘍の腫瘍径による内診触知率を検討すると, 約6cm以上のものはほぼ100%触知可能であったが, 2~3cmではほとんど触知不可能であった。

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