日本農村医学会雑誌
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セラミックを用いた頭蓋形成術の経験
鶴嶋 英夫目黒 琴生亀崎 高夫
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1997 年 46 巻 1 号 p. 13-17

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抄録

外減圧術が施行された5症例に関して, 8個のハイドロキシアパタイトの人工骨を用いて頭蓋形成術が施行された。5症例中4例は頭部外傷, 1例は髄膜腫であった。ハイドロキシアパタイトを用いたセラミック人工骨はコンピュータを用いてCT scanから三次元モデルを構成し作製された。頭蓋骨欠損部のサイズはCTscan上で最大120×45×110rnn (矢状断方向×冠状断方向×体軸方向), 最小でも64×60×90mmと大きいものであった。挿入された8個の人工骨は骨欠損部に容易に適合し, 美容的にも優れていた。セラミック人工骨は大きな頭蓋骨欠損の形成術には適していると思われた。合併症としては1つの人工骨に感染症を起こし, もう1つの人工骨では術後硬膜外血腫がみられた。硬膜外血腫をおこした症例は頭蓋骨欠損が大きいこと, 肝機能障害があり, これによる凝固機能障害をきたしていたことが出血をおこした要因と考えられた。大きい頭蓋骨欠損の形成術時には従来以上に硬膜の吊り上げに留意すべきであると思われた。

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