日本農村医学会雑誌
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農村高齢者の自立状況と排尿状態
患者, 老人施設入所者との比較
坂東 玲芳
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1998 年 46 巻 5 号 p. 825-832

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抄録

全共連委託の「高齢者住民の健康状態と排尿状態」の研究に参加し, アソケートにより典型的平地農村高齢者の健康状態, その自立状況等を調査し, 一般病院患者と老人施設入所者の状況とを計1,238人, 平均年齢75.2歳につき比較検討した。一般在宅高齢者の自立, ほぼ自立状態にあるのは, 90%以上であり, ほとんど, 問題無く, あるいは軽度の介助で日常生活可能である。老人施設入所者のそれは, 12.9%にすぎない。これの原因疾患や原因の主たるものは脳卒中後遺症, 骨折後遺症, 夜間の不穏などである。一般病院の外来患者は在宅者と差なく, 入院患者のそれは総対的にみて在宅と施設入所者の中間にある。
自立している高齢者においても, その排尿状態に対する不満はかなり多く, その率は約20%に達しており, 失禁を経験する人たちは男性20.5%, 女性25.8%である。排尿に関する不満, 失禁の有無は, 高齢者の自立と日常生活の質の向上に, 深い関係を有するものと考えられ, その状況を把握するとともに, その対策を樹立することは, 超高齢化時代を迎えている今日, きわめて重要な課題である。

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