日本農村医学会雑誌
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上部消化器内視鏡における洗浄と消毒
日本消化器内視鏡技師会ガイドラインの実践と問題点
山内 啓子星野 洋松園 サヨ子杉村 夏子牧野 なみじ
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1998 年 47 巻 2 号 p. 101-108

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抄録

内視鏡を介したと考えられたMRSA感染の症例を経験し, それ以前に行っていた内視鏡の洗浄方法 (旧洗法) に関して細菌学的に検討した。1名検査終了後に旧洗法で洗浄した内視鏡には46検体中10検体に細菌を検出したため, 日本消化器内視鏡技師会のガイドラインに準じた洗浄, 消毒方法 (新洗法) を取り入れ, 実践した。細菌学的に検討したところ, 新洗法では細菌の残存を認めなかった。しかし, 新洗法では洗浄消毒時間が延長したために検査効率は著しく低下し, 看護スタッフの仕事量の増加, 消毒剤であるグルタルアルデヒド (GA) の頻回使用によるスタッフへの薬害を認めた。改善策として自動洗浄機を増設し, ブラシ洗浄以後の行程を自動洗浄機を用いて行ったところ, スタッフの仕事量, GA曝露が軽減された。しかし, 自動洗浄機の洗浄, 消毒回数の増加により洗浄機内のGA製剤タンク内濃度が比較的早くより低下することが判明した。そのためGA有効濃度を保持するためには, 適宜濃度を確認する必要があった。ガイドラインに準じた洗浄消毒法は細菌学的には非常に有効であるが, 実践上幾つかの問題点があった。

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