日本農村医学会雑誌
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総コレステロール測定変動の精度管理試料による補正の試み
健診における総コレステロール値の経年推移
池田 せつ子川井 光増沢 紀恵子高見沢 靖子宮入 建三
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1998 年 47 巻 2 号 p. 121-128

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抄録

当施設が実施している, 集団健康スクリーニングにおける総コレステロール値の経年推移について検討するために, 測定に伴う変動の補正を試みた。
検討期間は1979年から1996年までの18年間である。
測定変動の把握には精度管理試料であるプール血清の月別平均値を用いた。1993年6月使用開始のプール血清を基準とし, プール血清のロット間差を補正しながら過去に遡り, 同一レベルでみたプール血清値を求めて変動を検討した。集団健康スクリーニングにおける総コレステロール平均値の変化は, こうした測定レベルの変動と近似していたため, 測定の偏りを補正できる可能性が示唆された。測定の偏りの補正には, 同一レベルでみたプール血清値が, 二次標準血清 (脂質専用の標準血1清) のレベルに適合できるように換算係数を算出し, 次いで各年度の集団健康スクリーニングの性別年齢別総コレステロール平均値を, 得られた係数により補正した。
総コレステロール値の経年推移は, 18年間に29歳以下は男性約10mg/dl, 女性約6mg/dl, 30歳代から50歳代では男性約18~20mg/dl, 女性約16~17mg/dl, 60歳以上は男女とも約10~13mg/dlの上昇を示していた。
また1991年から1996年までの上昇の比率は, 1981年から1990年の10年間に上昇した比率よりも, やや小さい傾向が認められた。

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