日本農村医学会雑誌
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自然生態系の中で共生する健康文化のまちづくり
河川・湖水系の生活域を結んだ環境ネットワークの形成モデル
福島 哲仁坂本 巌原 俊雄礒邉 顕生塩飽 邦憲山根 洋右
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1998 年 47 巻 2 号 p. 83-89

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抄録

島根県の斐伊川水系を結ぶ環境フォーラムの7年間の取り組みを評価し, 自然生態系の中で共生する健康文化のまちづくりの課題を検討した。
1. テーマの発展と参加者層の広がりの相互作用
環境問題をテーマとした宍道湖フォーラムは, 当初最も大きな関心事であった「ユスリカ対策」を中心テーマとし, 多くの人々の参加を可能にした。参加者の幅の広がりは, テーマの広がりを促し, ユスリカ対策→ 水質保全→ 環境学習→ 流域ネットワーク→ まちづくりへと発展した。
2. 健康文化都市プロジェクトの視点
この環境フォーラムの取り組みは, 究極的に「自然生態系の調和」へと発展する方向性を持っており, これと結合することで, 健康文化都市プロジェクトは,「自然生態系に懐かれた健康文化都市」という視点でその実現を目指すことができる。
3. 対立と共有化のプロセスによるネットワーク形成モデルと参加型行動研究
最初に環境と生活の利害に関する立場性の違いを明確にすることで, 漁業従事者と農業従事者, 市民と行政, 上流域と下流域住民等の対立構造を明らかにし, 次いで自然生態系に依存しながら生きていることへの想いを共有化し, さらに再び立場性の認識を行うことで, 共通する目標とそれぞれの役割が明確となる。生態系の多様で複雑な問題を解決するために, このネットワーク形成モデルを活用し, 住民, 行政, 研究者が協働する参加型行動研究を進めることが重要であると考える。

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