日本農村医学会雑誌
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老人における大腿骨頸部骨折の治療成績
熊木 昇二山本 浩一郎湯本 一彦栗林 秀樹
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1998 年 47 巻 2 号 p. 96-100

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抄録

1992年11月から1996年11月までに当院で手術を行った70歳以上の大腿骨頸部骨折113例113肢の歩行能力を中心とした治療成績を検討した。その結果, 66肢, 60.0%が受傷前の歩行能力に回復していた。しかし85歳以上の超高齢者では大多数が受傷前の状態には回復していなかった。合併症では痴呆の合併例で成績不良であった。そのため痴呆の発現を防ぐためや, すでに痴呆のある老人ではそれを悪化させないため, 術前の牽引中から作業療法や言語療法を取り入れるべきである。骨折型では内側骨折Garden分類stagem, IVで成績が良好であった。これはstageIII, IVには早期離床, 早期荷重ができる人工骨頭置換術を原則としており, 人工骨頭置換術で成績が良好であることに関係している。それに対して外側骨折不安定型で成績が不良であった。これは外側骨折には骨接合術を原則としているため, 整復のできない不安定型に対しEnder pin固定術を用いていることに関係している。同固定術は固定力が他の方法と比べやや弱いため, 術後の安静期間が長く荷重も遅れ気味となる。そのため痴呆が発生したり, 進行しやすく, 歩行能力が回復しづらいと考えられる。以上から整復ができない不安定型に対する手術は, Ender pin固定術でなくより強固な固定が得られ早期離床, 早期荷重可能な人工骨頭置換術の選択も考慮すべきである。

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