1999 年 48 巻 2 号 p. 96-101
血液透析患者のブラッドアクセスにおいて, 再循環指数は透析血流量とは正の, またアクセス血流量とは負の相関関係があることが知られている。今回我々は, 透析血流量の増加に伴う再循環指数の増加量は, アクセス血流量とどのような関係にあるのかを検討した。ブラッドアクセスは, すべての患者で橈側部に端側吻合にて造られていた。アクセス血流量は, 超音波ドップラー法にて測定し, 平均668ml/min (493~1,038ml/min) であった。再循環指数は, three-needle法を用い通常の透析血流量 (170ml/min) の時とその半分の透析血流量 (85mymin) にした時とで求めた。透析血流量の増加に応じて再循環指数は平均4.5%(5.4±1.1vs.9.9±1.9%, p<0.05) 増加した。また, 通常透析血流量時の再循環指数は, アクセス血流量と負の相関関係を示した (y=-30.78x+972.20, r=-0.79, P<0.05)。さらに透析血流量を増加させた時の再循環指数の増加量は, アクセス血流量と負の相関関係を示した (y=-33.88x+821.57, r=-0.75, P<0.05)。この事より, 高アクセス血流量の場合では, 再循環指数は透析血流量の変化を受けにくくなると考えられた。