日本農村医学会雑誌
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当院における同種骨髄移植の現状
小林 敏貴品川 篤司前田 浩利川田 健一
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キーワード: 同種骨髄移植, 再発, GVHD, GVL
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2000 年 49 巻 1 号 p. 30-36

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抄録

近年同種骨髄移植は治療法として確立され, 当院においても平成11年4月までに15例を施行した. そこで今回, 当院における同種骨髄移植の成績, 問題点について検討した. 症例は年齢5-50歳 (平均29.2歳), 疾患はAML 7例, ALL 5例, CML 1例, 非ポジキンリンパ腫1例, 重症再生不良性貧血1例で, donorは全例HLA完全一致の同胞であった. 前処置は, busulfanまたは全身照射+cyclophosphamide+etoposideが大半であった. GVHD予防はcyclosporine A+methotrexateが主で, 急性GVHDは4例 (うち3例はgrade I), 慢性GVHDは治療不要の軽度のものが2例のみであった. 輸注細胞数が少ない症例もあったが明らかな生着不全は認められなかった. 生着症例では, 平均でWBC1000/μlまでに19.5日, Plt 5万/μlまでに38. 1日をそれぞれ要した. 生着した14例中5例が平均6.7か月で再発し, 全例が平均9.6か月で死亡した. 8例は0.2-39.4か月 (中央値21.7か月) 寛解を維持し生存している. 同種骨髄移植の成績向上には, 原病再発の抑制とGVHD・感染症等の予防が重要で, 当院では特に前者が重要である. 前処置は標準より強力であるが, 急性・慢性GVHDとも非常に軽度で, graftversus leukemia effbct (GVL) が少ないと思われる. GVHD予防を簡素化しGVHD・GVLをもう少し誘導することで, 再発抑制および治療成績向上が期待できると考えられた.

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