日本農村医学会雑誌
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農村における生活習慣病予防に関する保健・医療・福祉情報の統一化についての研究
藤原 秀臣
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2000 年 49 巻 4 号 p. 607-617

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抄録

生活習慣病は年々増加してきており, 疾病予防や健康維持の観点からも生活習慣病予防は保健・医療・福祉の重要課題である。厚生連は全国に広く関連施設を有しており, 各地方の特色に基づいて全国レベルで住民と直結した保健・医療・福祉活動の展開が可能である。地域住民の健康を守り, より良い医療を提供するためには厚生連病院として市町村と連携し情報を共有し, 支援し住民へ還元していくことが今後の課題である。そのためには情報の統一化と不偏性, 情報の集積, 情報の解析と活用の手法を確立する必要がある。そこで従来の検診データの集積方法を確認し, サンプリングや集計・解析の方法を検討し, 広く地域で活用できる情報データベースのフォーマットの確立について検討した。検診データは各施設毎に保存・管理方式が異なり, 形式も外部には完全に閉ざされておりデータの収集は容易でなかった。しかし, 研究目的の理解に基づき専門家レベルでの情報交換がなされ統一したデータベースが完成した。今回は44,817件が登録され, 膨大な資料を一括して保存し解析することが可能となり, 地域特性や男女別, 年齢構成別集計を容易に得ることができた。今後はデータの収集を厚生連病院全体や市町村に拡大していくことが肝要であるが, その際, 障害になることは各施設のデータの保存管理方式が多種多様であり, 外部には完全に閉ざされていることである。今後のデータベースの統一化, 情報の拡大には, 各施設のデータが個人情報を特定できない形で外部にオープンに抽出できる普遍的な形式で登録されていく必要があると考えられた。

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