2001 年 50 巻 1 号 p. 49-53
症例は59歳, 男性。左腰部痛を主訴として当院に入院となった。原発性左腸腰筋膿瘍と診断され, 経皮的ドレナージと抗生剤投与にて治癒した。入院時の胸部X線にて両側肺野に多発性結節影を認めた。胸部CTでは左下肺野に胸膜に接する懊状陰影と, 全肺野末梢側に大小様々な多発性結節影を認めた。結節影の一部は薄壁空洞像や血管流入像を呈していた。結節影は経過とともに一部は縮小消失し, 一部は新たに出現した。経気管支的肺生検にて器質化肺炎像を認め, 膿瘍と入院時の喀疾からともにE. faeciumが検出されたことから腸腰筋膿瘍に合併した敗血症性肺塞栓症と診断した。