日本農村医学会雑誌
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血清LDLコレステロールレベルとの関連からみた農業従事者における認知調節系食行動の特徴
百瀬 義人畝 博
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キーワード: 食行動, LDL-C, 認知調節系
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2001 年 50 巻 2 号 p. 114-124

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抄録

Cognitive-behavioural approachが行動療法における戦略として具体化され, より緩やかで適切な体重コントロールや高脂血症の発症を予防するための適用に関心が高まっている。そこで, 高脂血症の進行に対する危険因子を明確にすべく, 認知調節系食行動と血清LDLコレステロール (LDL-C) との関連を検討した。また, 行動変容のための資料として, 生活習慣改善に対する考え方についても調査した。1999年の健康診査データから, 40~65歳の男女611名を対象とし, 共分散分析法を用いて食行動とLDL-Cの独立した関連を検討した結果, 男性では, 認知調節系が抑制されていないことによる過食行動とLDL-Cとの間に重要な関連が認められた。女性では,「食動機」・「体質に関する認識」の両者がLDL-Cと強い関連を認めた。生活習慣改善に対する考え方では, 体重を減らしたい, 運動を始めたい, と回答した人が4~5割認められた。これらの結果から, 男性は自分の過食行動 (例えば, ファーストフードをよく利用する, もったいないので残り物を食べてしまう) を認識し改善すべきと考えられた。女性は料理を多めに作る習慣を改めるべきであり, さらに, 自分の行動と認識のズレ (例えば, 肥満の原因を体質と決めつけて何の努力もしないこと) を改める必要性が示された。このような認知調節系食行動の特徴が, LDL-Cレベルのコントロール要因となっている可能性が示唆された。今後は, これらの認知調節系食行動とLDL-Cに焦点を当てて検討する必要がある。

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