日本農村医学会雑誌
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オオシロカラカサタケ (Chlorophyllum molybdites) による集団毒キノコ中毒
水草 貴久細川 嘉彦中川 宗大大野 泰良川崎 浩伸高橋 日出美右納 隆塚本 達夫日江井 邦彦
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2001 年 50 巻 4 号 p. 621-624

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抄録

中国人労働者によるオオシロカラカサタケの集団毒キノコ中毒の症例をもとに, 猛毒といわれるアマニタトキシン群の毒キノコとの相違や, 今後いかにして毒キノコ中毒の発生を減少させるかなどについて検討した。本症例のオオシロカラカサタケは急性胃腸炎様の消化器症状を呈するのみで致死例は報告されていないが, 摂食したキノコを直ちに特定することは一般的に非常に困難である。従って致死率の高い, いわゆる猛毒キノコを摂取した可能性を考慮し, 医療機関は対応に難渋させられることが多い。オオシロカラカサタケは外見上, 最も毒性が高いといわれているアマニタトキシン群のキノコ (シロタマゴテングダケやドクツルタケ) と似ているが, 発症までの潜伏期間が根本的に異なる。また, 毒キノコ中毒による被害者の数が減少しない原因として, 一つには毒キノコの判別法として古くからの「言い伝え」的鑑別方法が未だに存在しており, 明確で判りやすい鑑別方法が社会的に確立されていないことがあげられる。

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