日本農村医学会雑誌
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血液透析導入時における慢性腎不全患者の意識調査
週1回血液透析導入法の影響
倉持 元布施 和子
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2002 年 51 巻 1 号 p. 22-28

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抄録

透析導入時は, 慢性腎不全患者にとって情緒的にきわめて不安定な時期であり多大な心理的負担を伴う. 最近, 当院ではこの心理的負担の軽減をはかる目的にて, 週1回血液透析導入法を施行している. 今回, 血液透析導入期における心理的負担についての意識調査を行い, 週1回透析導入法の心理面へ及ぼす影響を検討した. 導入患者の83.3%に透析導入時に心理的負担がみられ, 特に生活制限, 食事や水分摂取制限 (39.1%), 繰り返される透析による拘束 (20.9%) および病気や生命の予後に対する不安 (15.5%) が多く全体の75.5%を占めた. また週1回透析導入法により, 導入患者の72.2%に心理的負担 [生活制限, 食事や水分摂取制限 (30.7%), 繰り返される透析による拘束 (23.1%), 身体的合併症, 肉体的能力の低下 (23.1%), 家庭での地位, 役割の変化 (15.4%) および経済, 社会的制約 (7.7%)] の軽減が認められた. これらのことから, 透析導入時においては, 予後に対する心理的カウンセリングの重要性と導入法の選択に対する配慮が求められると考えられた.

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