日本農村医学会雑誌
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胃全摘術後による消化不良が原因であると考えられた回腸魚骨穿孔の1例
平原 典幸渡部 広明
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キーワード: 回腸穿孔, 魚骨, 胃全摘術後
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2002 年 51 巻 1 号 p. 47-51

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抄録

急性虫垂炎の診断にて緊急手術を施行し, 術中所見より回腸魚骨穿孔と確定診断された症例を経験したので報告する。症例は49歳, 男性。右下腹部痛を主訴に近医受診。当院へ紹介された後, 精査にて急性虫垂炎を疑い, 緊急開腹術を施行した。開腹所見で虫垂は発赤, 腫脹し, 虫垂間膜の肥厚も認め, 虫垂炎の所見を認めた。また, 小腸内に多量の血液の貯留を認め, 回腸末端より約20cm口側の腸管が右総腸骨動静脈の内側に癒着しており, 同部位の剥離にて魚骨を認めた。以上より回腸魚骨穿孔から虫垂へ波及したものと判断し, 虫垂切除術, および回腸部分切除術を施行した。本症では胃全摘後, Roux-en Y法にて再建されており, 胃酸の分泌がないため魚骨の消化が悪く, 幽門輪などの生理的関門がないため, 小腸への排出が容易であったが, 癒着による狭窄した腸管があるため, 穿孔したと考えられた。

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