日本農村医学会雑誌
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重症心不全をきたしステロイドパルス療法を施行したChurg-Strauss症候群 (アレルギー性肉芽腫性血管炎) の1例
武田 智高橋 俊明大森 芳深堀 耕平吉田 正行齊藤 公基伏見 悦子関口 展代高橋 徹木村 啓二林 雅人斎藤 昌宏
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2002 年 51 巻 2 号 p. 127-133

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抄録

症例は19歳, 男性。2000年4月7日に重症心不全として当科に入院した。既往に1991年からの気管支喘息がある。1999年7月右下肢単神経炎が出現し, 東北大学神経内科にてChurg-Strauss症候群 (アレルギー性肉芽腫性血管炎, AGA) と診断されている。当院入院時の心臓超音波検査では左室拡張期径74mm, 左室駆出率20%と著明な心機能の低下が認められた。冠動脈造影では左右冠動脈の末梢の軽度壁不整あり, 右室心筋生検では好酸球の浸潤や線維化は認められなかった。入院時の諸検査ではAGAの活動性は低いものと考えられたが, 1か月間の利尿薬, ACE阻害薬投与でも心機能の改善が見られないためステロイドパルス療法を施行した。その後心機能は徐々に改善し, 拡張期左室径60mm, 左室駆出率36%となり, 第71病日独歩退院した。AGAの活動性が低い状態で, 合併する心不全に対し, ステロイド治療を行った報告は少なく, その有効性に関しての考察を加えて報告する。

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