日本農村医学会雑誌
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2001年~02年シーズンの当院小児科におけるインフルエンザへの取り組み
田中 敏博
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2003 年 51 巻 5 号 p. 742-750

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抄録

2000年-2001年シースンに引き続き, 2001年-2002年シースンの当院小児科におけるインフルエンザに対する取り組みを総括した。予防面では, ワクチン接種体制を充実させた結果, 相当の効果が認められた。診断面では, A・Bの型まで判別可能な迅速診断キットが便利であったが, 安定供給という点で課題を残した。治療面では, A・B両型に有効なザナミビルをネブライザー吸入する方法を導入し, 成果を挙げた印象であった。インフルエンザ脳炎・脳症を強く疑って治療を行なった症例を3例, それに準ずる重症例を2例経験した。これらの症例をはじめとして, インフルエンザ罹患者の多くがワクチン未接種者である。対インフルエンザ戦略としては, 診断・治療面でどんなに進歩があっても, ワクチン接種を中心とする予防面に力を注ぐことが最も重要であると考える。

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