日本農村医学会雑誌
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血液透析療法中にC型肝炎ウイルスが陰性化した1症例に対する考察
倉持 元島 健二
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2003 年 51 巻 6 号 p. 933-936

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抄録

現在, 肝炎ウイルスのなかではC型肝炎ウイルス (HCV) が重要な問題となってきている。以前我々は, 血液中にHCVを認めた血液透析患者において, 各種ダイアライザーの前後で血液中HCV-RNA量を測定したところ, 特にポリメチルメタクリレート (PMMA) 膜ダイアライザーでは血液中HCV-RNA量が有意に低下することを報告した。今回, PMMA膜ダイアライザーに変更後血液中HCV-RNAが陰性化した症例を経験したので報告する。症例は72歳女性。透析歴21年7か月。輸血歴あり。血液生化学的データに関しては, 血清AL, P, TTTのみ高値であった。血液中HCV-RNA量は, 以前より減少傾向が認められていた。ダイアライザー変更時は32KIU/mlであった。ダイアライザー変更後12ケ月で陰性化 (0.5KIU/ml未満) した。このことから, HCV陽性血液透析患者でのダイアライザーの選択に, 膜のHCV除去能も考慮すべきであると考えられた。

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