日本農村医学会雑誌
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滋賀県における主な農業機械による災害発生状況に関する経年的検討
1982年から1991年までの保険請求資料をもとに
峠田 和史西山 勝夫北原 照代
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2003 年 52 巻 1 号 p. 31-42

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抄録

滋賀県での農作業災害予防のための課題を明らかにする目的で, 県共済連の保険請求資料を基に, 1982年から1991年までの期間について, 主な農業機械を原因とした災害の発生実態を経年的に検討した。農作業災害は調査期間中に男性に914件, 女性に288件発生しており, 1983年が144件で最も多く, 以後, 年間100件程度で推移していた。災害発生に結びついた主な農業機械は, コンバイン, 草刈機, トラクター, 耕転機であった。コンバイン, トラクター, 耕転機による災害は, 減少ないしは横這いであったが, 草刈機による災害は増加していた。1989年以後, 60歳以上の年齢階層が被災者の中で最も高い構1成比であり, しかも, それは滋賀県の農業従事者の60歳以上構成比よりも高かった。コンバイン, トラクターでは, 機械の操作性や作業環境に起因する災害は減少していたが, 脱穀や耕転作業時の災害は減少していなかった。草刈機による災害増加には, 普及台数の増加や傾斜畦畔の拡大により使用頻度が増えたことが関与していることが考えられた。草刈機による災害予防のためには, 機械や作業環境の改善とともに保護具の導入が必要と考えられた。

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