[目的と対象] 中山間部において, 介護力が低下している高齢者世帯の在宅療養に対するサポートの在りかたを明らかにするため, 愛知県東北部に位置する足助町, 下山村, 旭町, 稲武町の介護保険サービス利用者502人 (男;160人, 女;342人。平均年齢;83歳: 54~100歳) を対象に, 独居世帯・高齢者世帯・その他世帯の3類型から介護保険給付実績 (平成14年2月分) の比較分析を行った。
[結果] 対象者502人中, 独居世帯は79人, 高齢者世帯は82人, その他世帯は341人であった。3世帯間に要介護度の差はなかったが, 在宅サービス利用者は独居世帯で37人 (46.8%), 高齢者世帯で62人 (75.6%), その他世帯で262人 (76.8%) であった。独居世帯では, 要介護度の重度化に伴い在宅サービス利用者が激減したが, 高齢者世帯とその他世帯では重度化しても比較的安定した利用率であった。高齢者世帯とその他世帯における在宅サービスを種類別にみると, 訪問看護は, 介護度の重度化に伴い, 両世帯ともに等しく増加した。一方, 通所介護は, その他世帯で介護度の重度化により減少したが, 高齢者世帯では終始高い利用率を維持していた。また,「介護保険サービス利用者アンケート」において, 各種在宅サービスに対する高齢者世帯の主観的満足度は高く, その期待度も極めて肯定的な結果が示された。
[結論] 当地では, 高齢者世帯の在宅療養が比較的高く維持されており, この背景には,「安心感」を提供する訪問看護と, 介護者の休息を保障する通所介護の高い利用率があった。