1987 年 24 巻 2 号 p. 93-101
床反力計を用いて歩行特性の正常範囲を求めた.加齢により歩行は60歳前後で急激に変化した.これは高齢での歩行が慎重になるためである.歩幅と歩調(ケイデンス)の減少により歩行速度は低下するが,影響は歩幅の方が大である.歩隔は広くなる.各位相期は増加し,特に両脚支持期の増大は立脚期を延長させ,歩調を減少させる.床反力では,2峰性の垂直分力が緩やかな波形となり,前後分力は減少し側方分力は変化が少ない.性別による比較では,女性の方が歩調と歩隔が狭く高歩調を示し,速度は遅い.歩幅の性差は脚長差の影響が大きい.また立脚期と単脚支持期は少なかったが,歩行周期による規格化後は性差がない.女性の床反力の各ピーク値は総体的に小さい.