1989 年 26 巻 1 号 p. 35-41
神経・筋疾患のグリコゲン代謝を調べる目的で,健常家兎ヒラメ筋(緩筋),外側広筋(速筋)を使用して予備研究を行った.(1)緩筋のglycogen synthase (GS)全活性とbranching enzyme活性は速筋よりも高値.phosphorylase kinase(PhK)全活性,phosphorylase(Ph)全活性,debraching enzymeはその逆.(2)GSの活性型比率は速筋で高値だが,PhKとPhのそれは緩筋で高値.(3)緩筋のcyclic AMP-dependent protein kinase (kinase A)とprotein phosphatase (PP ase)は速筋よりも高値.(4)以上から,緩筋のグリコーゲン代謝系酵素は速筋と異なり,PP aseよりはむしろkinase Aにより強く調節されることが示唆されたと共に,今後の疾患別検討の基礎データとなった.