26 巻 (1989) 3 号 p. 149-152
片麻痺患者46名に,坐位と,立位可能な症例では立位で肩関節のX線撮影を行い,X線上で肩峰骨頭間距離(AHI)を計測した.非麻痺側AHIは8.3mm±1.5mm,麻痺側AHIは16.4mm±8.3mmであり,AHIが13mmを越えるのをX線上肩関節亜脱臼とすると,56.5%の症例に亜脱臼を認めた.立位可能な肩関節亜脱臼患者(Brunnstrom stage I~III)の麻痺側AHIは,坐位から立位になると減少傾向を示し,特にstage IIでは統計上有意であった.したがって,立位および歩行訓練によって生じる肩周囲の筋緊張亢進,患側上肢の連合反応や共同運動が肩関節亜脱臼を改善する方向に働くと考えられた.また,stage IIの症例でも,立位・歩行や日常動作で肩関節亜脱臼が整復される場合は,三角布の使用を中止できる場合があることも示唆された.