1993 年 30 巻 4 号 p. 264-269
70羽の脊髄損傷家兎を作成して,35羽について尿路系の変化を病理組織学的に検索した.(1)膀胱では経過とともに壁内炎症が高度となり,壁および筋層の肥厚が認められた.(2)尿管は6週以降で拡張を呈した.(3)腎臓では慢性腎盂腎炎,軽度水腎症がみられ,逆流性腎症を示唆する像も認められた.その他6ヵ月後では腎糸球体内にアミロイドの沈着がみられた.これらの病理学的所見は脊髄損傷により惹起されたもので,臨床の場で経験する脊髄障害の病態を知る手掛かりになるものと思われた.