リハビリテーション医学
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脳損傷に対する認知リハビリテーションとしての,P300 Biofeedback Therapyの提唱
音成 龍司遠藤 智代子宮本 勉岩橋 徳二楠原 智彦市川 俊夫百田 耕山内 豊明松山 直也永田 博明高柳 幸久史野口 ゆかり中村 園子
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1995 年 32 巻 5 号 p. 323-330

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抄録

P300は認知機能との深い関係が示唆されている内因性の脳電位である.これまで痴呆などの診断に使われてきたP300を,治療に応用する方法を開発し(P300 biofeedback therapy,以下,P3BFと略す),その有効性を確認した.
P3BFとは,患者をP300測定器(誘発電位機器Neuropack four mini)のCRT画面の前に座らせ,2種類の音(標準音と目標音)から,稀に聞こえる目標音を弁別させるOddball paradigm試行を行わせながら,刻々と変化するP300の波形を,患者自らが記録中常時見えるように画面上に描出することによって,P300誘発波形の程度で自分の注意・集中力をフィードバックしていく方法である.
脳障害のために知能障害をきたした5症例にP3BFを1ヵ月間施行したところ,P3BFをしなかった期間と比較して,WAISとWMSに改善を示した.P3BFは,有益な認知リハビリテーションの1つであり,その特性により,注意機能回復訓練と位置づけることができるであろう.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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