1998 年 35 巻 11 号 p. 731-737
脱神経後の筋線維伝導速度と筋組織化学的変化を29匹のウイスター系ラットを対象に長趾伸筋とヒラメ筋を用いて4週間,経時的に調べた.長趾伸筋の筋線維径はヒラメ筋よりも小さいにもかかわらず伝導速度は速かった.組織化学的には長趾伸筋はタイプ2線維優位の白筋であり,赤筋のヒラメ筋では多くがタイプ1線維で占められていた.脱神経後の伝導速度の低下は,筋重量,筋線維径の減少に比べて,より早期に出現した.したがって,脱神経自体が筋線維の興奮性を低下させ伝導速度が低下する機序が,筋線維径の減少を介する機序より大きいことが示唆された.