リハビリテーション医学
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経頭蓋磁気刺激で誘発される脳波変化
脳卒中片麻痺患者での検討
出江 紳一高瀬 守一朗千野 直一有田 元英石田 暉
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1998 年 35 巻 11 号 p. 738-743

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抄録

経頭蓋磁気刺激で生じる脳波変化を,脳卒中患者4名(年齢57~70歳,男女各2名,被殻出血1名,穿通枝領域梗塞2名,脳幹部梗塞1名)を対象として検討した.脳波はF3/4,C3/4,P3/4,およびT3/4より記録した.円形刺激コイルを頭頂部に固定し,時計方向電流で最大強度の刺激を40回,3~5秒間隔で行った.刺激アーチファクトを減ずるために,刺激後150msecの間入力を遮断する回路を記録電極と脳波計との間に置いた.その結果,(1)刺激直後の脳波の徐波化が観察された.脳波変化の出現頻度は10~80%,持続時間は250~600msecで,対象や記録部位により異なった.(2)麻痺が重度で抗てんかん剤を使用中の患者は,他の患者に比べて刺激による脳波変化の出現率が低い傾向を示した.(3)上下肢の麻痺がともに軽度な穿通枝梗塞患者では,F3/4,C3/4において,1~3個の陰性頂点を含む緩やかな陽性波として誘発電位が記録された.本研究で用いた脳波記録法は,脳卒中患者の経頭蓋磁気刺激への感受性を評価する手段として有用と思われた.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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