リハビリテーション医学
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脳梁梗塞患者のリハビリテーション
渡邉 修宮野 佐年杉下 守弘上久保 毅菅原 光晴
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2001 年 38 巻 6 号 p. 465-470

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抄録

脳梁が選択的に梗塞を起こす例はきわめて稀である.本症例が呈する両上肢の異なる運動障害に対しリハビリテーションを進めるとともに,各種の神経心理学的検査を施行したので,従来の分離脳研究から得られた知見をもとに考察した.症例は51歳男性.右利き.急性期の一時的な無動性無言の後,右上肢の強迫的道具使用および左手の観念運動失行が問題となりリハビリテーション目的の入院となった.さらに右上肢での左半側無視,左手の触覚認知,呼称障害,左視野での失読を認め,WAIS-Rにおける動作性知能指数は右手使用で47,左手使用で72であった.一方,両上肢の運動障害に対しては,動作時に充分リラクゼーションを図ること,左手を机の柱に握らせること,習得した動作を中心に行うこと,視覚的フィードバックを重視することが重要であると思われた.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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