リハビリテーション医学
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外傷性脳損傷長期支援システムとしての再評価入院プログラムの検討
岡本 隆嗣橋本 圭司大橋 正洋宮野 佐年
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2004 年 41 巻 6 号 p. 413-420

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抄録

2000年7月~2003年9月までに,当院の再評価入院プログラムを利用した患者は28名であった.当院の再評価入院プログラムは,当院で初回入院プログラムを経験した後,在宅で生活している慢性期脳外傷者に対して,医学的検査,機能評価,機能訓練,および社会参加に必要な情報提供,利用できる社会資源との連絡調整などを4週間の入院期間内に行う.初回入院から2回目入院までの各期間の比較では,FIM運動,FIM合計は有意に改善していた.初回・2回目入院中の神経心理学検査では,MMSE,三宅式記銘力検査,TMT-A,B,WAIS-Rが有意に改善していた.3回入院者(8名)の検討では,運動機能は多くの場合長期間にわたって改善していたが,初回入院中に変化がみられないとその後の機能もほとんど変化がなかった.社会資源利用者は,再評価入院中の治療および支援により,初回退院時46%から2回目退院時79%へ,同様に,初回退院時13%から3回目退院時88%へ増加していた.脳外傷者の長期的支援システムの1つとして,退院後のさまざまな時点における機能障害,能力障害,および社会参加の状況を評価し,必要な支援を行う再評価入院プログラムは有用と考えられた.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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