The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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原著
Wechsler Intelligence Scale for Children-Fourth Edition(WISC-IV)「絵の抹消」の有用性
竹厚 誠池田 夏葉山内 裕子本田 真美宮尾 益知橋本 圭司
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2014 年 51 巻 10 号 p. 654-661

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抄録

目的:ウェクスラー児童用知能検査第4版(WISC-IV)では,全検査知能指数(FSIQ)や合成得点が重視され,補助検査は数値に反映されない.しかし知能検査によるアセスメントでは多角的な検討が必要である.そこで「絵の抹消」を取り上げ,検査結果の質的な側面にフォーカスすることの重要性を検討した.対象と方法:当センターでWISC-IVを施行された412 名を知的水準によって3 群に分け,30 名ずつを無作為に抽出し計90 名をサンプルとした.各群の合成得点および下位検査評価点を比較し,さらに6 タイプの抹消手順について検討した.結果:知的水準が高くなるほど「絵の抹消」の評価点が他の下位検査項目よりも低くなった.また,ラインに沿った系統的な抹消手順である「秩序型」群で評価点が明らかに低くなった.結論:WISC-IVによる評価結果は,全検査IQや4 つの合成得点だけでなく質的な面への注目が重要と考えられた.「絵の抹消」などの補助検査の実施によって測定できる認知能力の範囲が拡大し,全検査IQには反映されないような認知機能の質的な側面を検出できる場合がある.知的に高い発達障害児における遂行機能障害の問題には,企画能力の低さや固執性が関与している可能性が示唆され,今後の検討が待たれる.

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© 2014 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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