2014 年 51 巻 8-9 号 p. 555-564
脳卒中後上肢麻痺患者に対して,健側大脳への低頻度反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)と集中的作業療法の併用療法15 日間プロトコール(NEURO-15)を2 回実施し,麻痺側上肢機能に与える影響に関して検証した.対象は慢性期の手指Brunnstrom Recovery Stage(BRS)IV・Vの脳卒中後上肢麻痺患者16 名とした.1 回目のNEURO-15では,上肢機能評価において有意な改善を示したため,これまでの報告と同様に,手指BRS IV・Vの患者に対するNEURO-15は麻痺側上肢機能を改善させることが示された.また1 回目のNEURO-15退院時から2 回目のNEURO-15入院時までの平均13.6 カ月の期間では,麻痺側上肢機能の改善効果は維持できていた.そして2 回目のNEURO-15に関しては,再び上肢機能評価において有意な改善を示した.よって手指BRS IV・Vの患者に対するNEURO-15は,2 回行った際も,上肢麻痺の改善に有用であることが示唆された.このことにより,複数回のNEURO-15は,麻痺側上肢機能の段階的かつ持続的な改善に寄与できる可能性を有していることが考えられた.