The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
Online ISSN : 1881-8560
Print ISSN : 1881-3526
ISSN-L : 1881-3526
特集『神経生理学的手法の応用―実践と可能性―』
摂食嚥下障害における神経生理学的評価
―高解像度マノメトリーと筋電図検査―
青柳 陽一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 53 巻 6 号 p. 479-483

詳細
抄録

 摂食嚥下障害の検査としては,嚥下造影検査,嚥下内視鏡検査が標準的であり,誤嚥の有無や咽頭残留の評価に適しているが,神経生理学的側面に関しては情報が得にくい.摂食嚥下障害の神経生理学的評価を行うときには,マノメトリー,筋電図検査が用いられる.高解像度マノメトリー(high-resolution manometry:HRM)を用いると,上咽頭から舌根部,下咽頭,上部食道括約筋(upper esophageal sphincter:UES),食道へと協調的かつ連続的に嚥下関与筋が活動する際に発生する咽頭内圧,食道内圧の時間的・空間的データを圧波形もしくは圧トポグラフィーとしてリアルタイムで得ることができる.食塊輸送時の咽頭内圧の低下,上部食道括約筋の弛緩障害,咽頭内圧上昇と上部食道括約筋のタイミングの異常はしばしば神経筋の障害に関与しており,咽頭残留や誤嚥のリスクを見極めるのに重要な所見である.針筋電図検査では,嚥下関与筋の安静時電位と嚥下時の運動単位電位を記録することにより神経原性変化,筋原性変化を鑑別できる.多チャンネル筋電図測定を行うことで嚥下関与筋の一連の協調運動を評価する.

著者関連情報
© 2016 社団法人 日本リハビリテーション医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top