嚥下障害の場合,食物形態によって嚥下の難易度や誤嚥のリスクが変わるため,形態を調整した嚥下調整食は,安全性のためにも,栄養摂取のためにも,そしてリハビリテーションのためにも必要である.液体ではとろみの有無程度,固体ではかたさ,凝集性,付着性が測定可能であり,主に指標として用いられている.さまざまな食品やメニューの食物形態について,日本摂食・嚥下リハビリテーション学会は嚥下調整食学会分類2013を発表して整理している.嚥下調整食を必要とする症例は低栄養のリスクが高く,また食物形態の調整過程で栄養が低下しやすいので,栄養サポートには特に配慮する.嚥下調整食は咀嚼の難易度を下げるため時に刺激として低いことがあり,低すぎない,適した食形態を選択することは食欲・量の摂取の面では重要である.経口摂取量の安全な増加には食物形態だけでなく,外見・味・経口摂食時の代償的手法なども総動員する.