2017 年 54 巻 9 号 p. 676-682
嚥下障害の治療の第一選択はリハビリテーションであるが,嚥下障害の程度が重度であり,リハビリテーションの効果がこれ以上見込めないと判断された場合には,外科的治療の適応となる場合がある.患者がまったく,あるいはほとんど食物を経口摂取できない重度嚥下障害の状態で,患者が再度経口摂取できるようになることを希望する場合には嚥下改善手術の適応が,患者が嚥下機能を再獲得できる見込みがなく,誤嚥のために肺の障害が進行して生命に危険を及ぼすと予測される場合には誤嚥防止術の適応が考慮される.本稿では,喉頭挙上術,輪状咽頭筋切断術,および,さまざまな誤嚥防止術のそれぞれの術式についての文献をもとに,主に適応と治療効果についてまとめた.