2019 年 56 巻 1 号 p. 23-27
失語症患者に対する経頭蓋磁気刺激治療は十分なエビデンスがあるとはいえないが,脳卒中による慢性期失語症患者に対して反復経頭蓋磁気刺激治療と集中的なリハビリテーション治療を行うことで,その効果が認められてきている.十分なエビデンスが得られない要因の1つに失語症自体が上肢麻痺に比べると複雑であり,かつ個々の症例ごとに異なる点がある.経頭蓋磁気刺激治療にあたっては,まず画像検査で機能的代償部位を評価し,個々に応じた刺激方法を選択する必要がある.今後は,症例を積み重ねていき,再検討することにより経頭蓋磁気刺激治療の有効性を高めていきたい.