2019 年 56 巻 10 号 p. 746-751
スポーツ傷害に対する整形外科治療が目覚ましい発展を遂げ,傷害部位に対しても正常な機能回復が望めるようになった.一方で,スポーツ復帰後の再受傷予防に関しては期待通りの成果が得られているだろうか.再受傷予防では傷害発生に至ったメカニズムを理解し,それに関与した危険因子を抽出し除外することが必要不可欠である.より安全なスポーツ復帰をめざすうえでリハビリテーション診断・治療に課せられた役割は非常に大きい.さまざまな予防プログラムが開発され,その有用性が報告されてはいるが,残された課題も少なくない.その実践においては,より科学的なアプローチを積極的に導入しつつ,通常のリハビリテーション環境でも効果的に行える方法の確立が望まれる.